2004.1.17
インフルエンザ


 私は元来寒さに強い方である。方であるというか、かなり強い。その私に突然寒気が襲ってきたのは選りにも選って金曜日の午後、しかも出張中ですぐには帰れない所で、であった。体調が悪くなる時には一気に来るもので、頭は痛くなるわ筋肉痛は始まるわ咳は出るわ集中力は落ちるわ(それは元からです)と見事なまでの風邪の諸症状発現で、笑ってしまうくらいだ。いや、笑ってる余裕は無かったのであるが。

 ・・・というか、なんで金曜の午後に発症する?土日潰れるだろ。平日だったら休みを取る絶好の機会になったというのに。

 本音は兎も角。この時期はインフルエンザの流行る季節である。去年の今頃にはインフルエンザに感染し、やはり39度近い熱を出して、そしてその時には幸い会社を休んで寝込んでいたのであるが、前回不幸だったのはまさにその週末スキーに行く予定を立てていたというのにそれが潰れてしまったことである。

 それは兎も角、インフルエンザである。この病気は恐ろしく、毎年のように流行し、そして実は無視し得ない死者を出している恐るべきものなのだ。と言っても、死亡者のほとんどは高齢者であって私くらいの年齢層では死者が出ることは稀であるが。インフルエンザの予防には、予防接種が最も効果があると言われている。インフルエンザウイルスは鳥、豚、人類の体内を移動するため変異が早く、毎年ワクチン接種が必要である。wired news内の今冬のインフルエンザ予防ワクチンをめぐるジレンマでは、アメリカにおける今シーズンのインフルエンザ状況に関して以下のように紹介されている。(アメリカに関したニュースであったとしても、日本の状況に当てはめるのにさして不適当なことは無いと言って良い)

 およそ8300万人分のワクチンが製造されたが、それがどれだけ有効なのかは誰にもわからない。インフルエンザ・ワクチンは通常、70〜90%効果があるとされるが、今年はそうした効果が期待できないのはほぼ確かで、専門家のあいだでは、50%にも達しないとの悲観的な見方すらある。

 「流行株が実際にわかった時には、手遅れでもう何も手を打てない」と、米国の3つのワクチンメーカーのひとつ、アベンティス・ファーマシューティカルズ社のマイケル・デッカー副社長(科学・医療担当)は言う。

 というわけで、ワクチン接種は現在のところ最も有効な手法ではあるが、感染の恐れを全く無くすことは出来ない。うがいはどうかって?インフルエンザウイルスは粘膜にくっついてから20分程度で感染を完了してしまうため、インフルエンザに対して効果を見込むことは出来ないのだ。で、発症してしまった場合である。大体において、放っておけば勝手に治るものであるから、ひたすら家で暖かくして寝転がっていれば良いのであるが、症状が出てから48時間以内であれば治療薬があるという。症状が見られたら一刻も早く治療することが肝心であるという。

 しかし、だ。インフルエンザじゃないのに病院に行って2時間ほど待たされた挙句ただの風邪で、それどころが病院に行ったことでインフルエンザ感染してしまったらそれこそ踏んだり蹴ったりである。多くのウイルス疾患は似たような初期症状を辿るので、風邪なのかインフルエンザなのかは見分けにくく、それ故に自分で判断するのは避けた方が良い。現在、10〜15分でA型インフルエンザ、B型インフルエンザが簡単に診断する事ができる迅速診断キットが出ているということなので、きちんと把握したいのであれば病院に行くことをお勧めする。

 このような悠長なことを言って済ましていることが出来るのは、私の年齢層は十分免疫が強いためそうそう死に至るほど重要なものでは無いこと、幸いなことに致死性が左程高いものではないこと、休めるうちに会社を休んでおくのは手であると思っていること等が挙げられるが、一度インフルエンザが猛威を振るうとSARS顔負けの恐るべきものに変貌することがある。例えば、1918年から翌年にかけて世界中で多くの死者を出したことがある。スペイン風邪、である。

 なんと、世界では2500〜6000万人、日本では38〜39万人が命を落したといわれている。このスペイン風邪、名前に反して病気の最初の報告がスペイン、というわけでも最大の被害国がスペイン、というわけでも無い。当時一次大戦の真っ最中でどこもかしこも報道規制が引かれていたのに対し中立国であったスペインが報道していたからこの名前が定着してしまった、と言われている(が、報道前に前線の兵士達がこの呼び名を使っていたとも言う)。
 感染予防のために握手が禁じられたとか、とにかくその猛烈な感染力と激甚な被害の前に人々は為す術もなかったわけであり、武者小路実篤の「愛と死」に登場するヒロイン、野々村夏子は主人公との再会を前にあっけなくその若い命を奪われている。なお、この小説に関しては素晴らしい解説があるので、時間に余裕がある方には是非とも一読をお勧めしたい。

 なんにしても、インフルエンザになどかからないのが一番である。感染しないためには、感染経路を絶てば良い。インフルエンザも宇宙から電波に乗ってやって来るわけではない。きちんとした感染経路があるのだ。インフルエンザは飛沫感染である。くしゃみしているヤツ、よくしゃべるヤツは危険分子である。人ごみなどもってのほか。一日中家に篭って、出来れば家族との接触も絶った方が良い。
 ・・・それじゃあただの引きこもりだ。

 それは兎も角、感染ルートに気をつける、というのはやはり色々な病気である。近年の騒動ではSARSが記憶に新しいところであるが、スワジランドではとんでもない法律が施行されたりしたそうな・・・
 流石にそれはやりすぎだと思う。



 なお、インフルエンザについて更に色々知りたい方は以下のリンク先を参照してください。(ただし、かなり重複があります)

インフルエンザ情報サービス(総合的に知りたい方はこちらへどうぞ。ここ以外は各論です)
感染症の話
インフルエンザの総説
インフルエンザと予防接種
インフルエンザ全般と迅速診断について
今冬のインフルエンザ対策




   


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