2004.3.8
JAXAの報告  それで対策は十分なのか


 本日、3月2日に本のコーナーで紹介した、国産ロケットはなぜ墜ちるのか  H−IIA開発と失敗の真相にて取り上げられたH-IIロケット墜落について、宇宙航空研究開発機構;JAXAが事故の原因となったノズルの対策として、SRB-Aノズルに関する中長期的課題への取り組み状況についてと題した報告を行った。

 今回の報告では2点の報告があった。「アルミ含有量の少ない推進薬組成の検討」と「侵食に関する詳細データの取得・評価」である。で、目を通して実に驚いた。これって、報告するほどの内容なのん?まず、推進薬に関して。(一部しか引用しないので全文に興味がある方はリンク先を参照してください)

 地上燃焼試験(QM3)以前の検討により、ノズル部のライナアフト(CFRP製断熱材)における局所エロージョンの発生要因のひとつとして、燃焼ガス流中の酸化アルミニウム(アルミナ)粒子の偏在の可能性が考えられていた。
(中略)
 局所エロージョンのメカニズムの解明とアルミナによる影響の定量的評価について、平成13年度より取り組んできた。
(中略)
 必要があればこれまで設計等の改善として抽出した局所エロージョン低減方策に加え、推進薬成分の研究を行っていく。

 だそうな。ん〜、平成13年から取り組んできたのはいいと思う。問題がどこにあるか絞れているのはそうじゃない場合よりもずっと良いと思う。対策も立てられるし、研究にも時間が割ける。でも、考えさせられるのが、「必要があれば(略)推進薬成分の研究を行っていく。」ってなに!?
 改善できるのであれば、実績あるものを使っていけば良いけど、それと平行して改善しきれない場合に備えなきゃいけないのでは無かろうか。で、文章からはそれが全く行われていない形跡が見える。それは幾らなんでもあんまりな話だ。失敗には備えなきゃいけないというのに。で、次。

1. 飛行時のテレメトリ・データの拡充により、侵食に関する詳細なデータを蓄積する。 2. 飛行後のSRB-Aの探索・回収作業については、飛行データの拡充によって達成可能な確認・評価内容、探索に係る費用等を勘案し、実施の必要性について、今後、引き続き検討をすすめる。

 「侵食に関する詳細なデータを蓄積する」って、今までやってなかったんかい!!打ち上げは数少ない実験を補う貴重なデータ収集の場でもあるはず。なのに、データを取っていないというのはどういうことなのか。考えられるのは、データ記録用の設備を積み込むだけの余裕が無い。宇宙に持っていくにはg単位でも凄まじいカネが罹るから、というのであればそれは余りにお粗末に過ぎる。データを取っていればきっちり後のロケット開発に役立つのだし、そもそも独自技術でのロケットなのだからまだまだデータはあっても余るということは無いはずだ。次の項目もお粗末過ぎるのは変わらない。事故を起こした実機が目の前にあればどれだけ役に立つことか!!

 ちょっと眺めただけでも、資金が足りないが故にこそ起こりそうなことが続々と出てくる。宇宙開発の現場のお寒い現状が見えるようで悲しくなる話だ。もっと長期戦略にたって、宇宙開発をどのように進めていくかのリーダーシップを取れる人が然るべき立場にいないと、もうどうしようもないように思われてならない。

 データの取れない失敗はそれこそ資金のムダだ。たとえロケットが落ちても、それを資金のムダに終わらせない姿勢こそ、重要ではなかろうか。あるべき姿になろうとしているのかどうかを確認するためにも今後も真相究明の努力には注目していかねばなるまい。




   


検索エンジンなどから直接辿り着かれた方はこちらからお戻りください
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送