2004.7.2
専門家とは・・・


 世の中にはそれはもう色々な専門家がおり、我々凡俗の徒には理解できないことに見事な答えを与えてくれるよう、日々精進を重ねている。例えば、ワインの専門家であるソムリエにこのワインはどんなものですか?などと聞いて見たら、
 「これは高原をはだしで走っているようなさわやかな味覚を与えてくれます」
 とかなんとか崇高なことをおっしゃってくださるはずだ(言い掛かり)。このように、専門家は偉大なのである。

 さて、恐竜についてのネタを書いたら、すぐに私の高校時代からの悪友Iがメールを寄越した。すぐに見ろ、と言って書いてあったのは、こんなニュースへのリンクであった。曰く、

<幻の動物>注目記事:日高町でツチノコ? 探検隊が鑑定依頼へ /但馬
 美方町の美方つちのこ探検隊(水間富司雄理事長)は30日、幻のヘビ・ツチノコらしい動物を見つけた、と発表した。発見時には死亡していたが、近く専門家に鑑定を依頼するという。

 5月24日、日高町の神鍋高原で植木の腐葉土を捜していた人が発見したという。体長52・5センチ、最大幅5・3センチ。頭部はないが、よく知られている “ツチノコらしい”体格。ただ、車などに踏まれたのか、ややペシャンコで、乾燥も進んでいる。同隊では「ヘビにしては太く、短い。ウロコも大きい」と期待を膨らませている。【竹花義憲】

毎日新聞 2004年7月1日

 素晴らしいではないか。絶滅が確信されていたシーラカンスが発見されたときのような、わくわくする思いにとらわれる人も少なくあるまい。多くの目撃証言が得られていた幻の動物、つちのこが、ついに発見されたのだ!

 このぺっちゃんこの死体は野球部員の引くローラーに押しつぶされて横に伸びてしまっただけかもしれない。あるいは、ウサギとかネズミとかを丸呑みした後で熊に踏み潰されたのかもしれない。しかし、そんな疑問もすぐ解いてくれる。そう、こやつは専門家に鑑定してもらえるのだ!!

 でも、ちょっと待てよ?
 シーラカンスは、化石としては知られていたわけだ。それがまだ生息している、というのは驚きではあったがそのような魚が過去確かに存在していたということだけはしっかり分かっており、それゆえに専門家はその実態の一部を把握していた。  ところが、つちのこはどうだろう。幻の動物といわれ、本物を見たことがある人は誰一人として居ないのだ。

 ということは、この専門家、未だかつて本物のつちのこ、つちのこの死体あるいは間違いなくつちのこが遺した痕跡の、そのいずれも見たことが無いはずである。つまり、ヤツ(ヤツって誰だ?)は、見たことも無いものを、まちがいなく、”想定される見たことも無い”ものかどうかを判別することができることを意味する。なんというか、ワインを見たことも匂いを嗅いだことも当然飲んだことも無い人に銘柄を当てろと言っているに等しいような暴挙とも思われる。見たことも無いものを鑑定させられるのも災難かも知れないけど。

 なんにしても、理事長および専門家を、生暖かい目で応援したいと思う。なお、つちのこの後は、是非とも幻の生き物・河童を見つけ出して欲しい。問題は、河童を見分けることができる専門家が居るかどうか、である。




   


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