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UPデータ評価
136 2006.5.26
情念戦争

鹿島 茂著

集英社インターナショナル (2003.10)

☆☆☆☆☆


 王政への不満から始まったフランス革命は激動の時代の幕開けであった。ロベスピエールによる恐怖政治、ナポレオンの台頭と失脚を経ての王政復古と対外的にも対内的にも極めて大きな変動があったのだ。

 振り子の針が振れるが如く政治体制がコロコロと変わる、複雑な時代を切り取るには一人の人物に注目するのが楽なように思われるからか、この時代を語るにはやはりナポレオンを中心に据えてその動向を追うのが中心かと思う。しかし、筆者はその見事な腕で、3人の傑物を同じくらいの比率で重要視しながら分かりやすく面白くひきつけられる話にまとめ上げた。

 戦争と栄光に情熱を燃やす稀代の軍事的天才ナポレオン。常にフランスとヨーロッパ全体の安定を気にかけながら個人の利殖と娯楽に莫大な時間と金をかけたタレーラン。そして、秘密警察を組織し革命前の時代からナポレオン失脚後の王政復古まで常に権力の傍にあった謀略家フーシェ。

 3人は時に協力し、時には激しく対立しながらそれぞれの情念に従って行動する。誰も彼も一筋縄では行かない、才知に溢れる人々の行動とその結果がとても面白く、ひきつけられる。久々に読み終えるのを惜しいとつくづく思った一冊。おかげでフランス革命についての理解がちょっと深まり、興味は無限に広がった。世界を広げてくれたことに感謝したい。




UPデータ評価
137 2006.5.27
ナスカ砂の王国

楠田 枝里子著

文芸春秋 (2006.2)

☆☆☆☆


 世界7不思議なんてものもある。ピラミッド以外は現存しないがいずれも他を圧する巨大な存在感を持ったものばかり。しかし、そんな世界7不思議も高いところに上らなければその全体像を見ることすらできないナスカの地上絵と比較すると不思議さが足りない。

 たとえばピラミッドは雨季に農民を救済するための公共工事だったことが明らかになっているなど、作った動機については分かっているものもある。しかし、ナスカの地上絵は何のために書かれたのか、はっきりしたことは分からない。だからこそ解くべき謎が多くて面白い、というのはあるかもしれないが。

 そんな地上絵の謎に挑んだ、一人のドイツ人女性がいる。マリア・ライへ。ナチス時代に単身南米にわたると、ヒトラーの野望が欧州を焼き尽くし、その破滅後には故郷を共産主義のカーテンが覆い隠してしまう。そう彼女の故郷は東ドイツにあったドレスデン。戻るところはなくとも、彼女は既に生きがいを遠い異国の地で見出していた。地上絵の研究だ。趣味で始めた研究は、やがて彼女を押しも押されもせぬ地上絵研究の第一人者と変えていく。

 そんな彼女の半生を、ベルリンの壁健在なりし頃の東独とペルーを行き来しながら追いかける。マリア・ライへのパワフルな生きる姿勢と真摯な研究は心を打つ。研究だけではなく、遺跡の保存にも奔走する。カネも、味方もないなかで孤軍奮闘する、そんな女性がいたからこそ、今も地球の反対側で我々が地上絵に思いを馳せることができるのだ。

 ペルーでの研究成果に注目したいのであれば不適当であろうが、科学者の伝記としてはとてもよくできていると思う。地上絵が知られるようになった裏にどんなことがあったのかがとてもよく分かって面白い本である。




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