2004.3.27
News Weekなどつらつらと眺めてみる


 いつも通り、25日発売の日経サイエンスプレイボーイアフタヌーンを買いに本屋に行ったら、News Weekのタイトルが目を引いた。「スクープ!ブッシュ批判新証言」と「グーグルの秘密」と表紙にあり、中身を眺めて見ると台湾総統選についてなど、なかなか面白そうだったので購入してみたのである。その結果、「なんだこの組み合わせは」といういつもの組み合わせが更に混迷の度を増したのは間違いない。で、読んでみたところ…

 _| ̄|○ 新味が無かった…

 例えばブッシュ政権批判は対テロ部門の責任者であったリチャード・クラークの話を元に組み立てているが、その内容はブッシュ政権が9.11の同時多発テロ直後にイラク攻撃を行おうとしたことや、テロへの備えを熱心に行ってこなかったことなどからなっている。

 そんなことは分かってるというのに!!ウォーターゲート事件を暴いたジャーナリストである、ボブ・ウッドワードによるブッシュ自身を含めた政権高官たちへのインタビューを基に書かれた『ブッシュの戦争』(日本経済新聞社)ではその直後の様子が克明に示されているわけで。

 つい勘ぐってしまうのは、これがアメリカの記事をそのまま翻訳したために情報格差がでてしまったのではないか、ということである。どこの国家でもそうだろうが、戦争中というのは一種の異常な状態となるため、政権批判を行いにくいというのがある。政権が批判されるようになるのは大体において国民の間に厭戦気分が蔓延するまで待たなければならない。アフガン侵攻を成功裏に終わらせ、イラクに侵攻した辺りまではアメリカも絶好調で、少なくとも戦いには勝っていた訳であるから厭戦気分が起こりにくい状況であった。それがここに来て見ると、なにやらイラク統治はあまり上手くいっておらず、ヨーロッパは更にアメリカ離れをしようとしている、おまけに事実上唯一の開戦理由であった大量破壊兵器は見つからない、と事態が混迷の度を深めている中では政権批判も起ころうというものである。

 そんな中で、クラークがこのようなことを暴露してしまったものだから、アメリカでは騒ぎになったが外国ではそうではない、というのも十分考えられる。前掲の『ブッシュの戦争』では、著者が共和党員であるということも手伝って、ブッシュの英断を称えるような内容となっており、テロ直後にイラク侵攻を図ったことについても正当化するような論調である。私はなるほど、これが後の大義無き戦争に突き進む端緒となったのかと別の意味で感慨深くはあったが、しかし、当時はこれらの証言も英断につながるものとして出ていたのであろう。失敗は明らかになるまでは失敗と分からないのだから、今この本を読み返すとちょっとどうかと思うことも多々ある。ブッシュ政権を支える人々がどんな人々なのか、それを性善説の立場から見たいというヒトには向いてるかもしれないけれども。

 台湾の総統選についても、通り一遍の話しか書いておらず、残念。この手の薄い雑誌では一つの記事に割くことのできる文字数がかなり制限されてしまうし、写真も多用するものだからまあ仕方ないかも知れない。

 ただ、「出産適齢期が死語になる」という記事は面白かった。これは二つの大きな発見によって不妊治療が将来的に変わるかもしれない、というもので、直近の話ではないが夢があって面白い。「女性の卵子の数は出生時には既に決まっている」という定説が破れるかもしれない、というのはちょっと、というかかなりびっくり。政治ネタに国境はあっても科学ネタには無いのかもしれない。

 やはり、ちゃんとした情報が欲しければ、それなりのものにあたらないとダメだ、ということを改めて実感させられたのだった。




   


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